大会長挨拶

2017年7月15日に千葉県松戸市で、第14回日本高齢者虐待防止学会大会を行います。

本大会が取り扱う第一のテーマが「高齢者虐待防止法」です。高齢者虐待防止法施行から10年が経過しました。本法は、高齢者虐待の概念を明確にし、国や地方行政の義務を定め、具体的な取り組みが全国各地で行われるようになった意義は大きいと考えています。しかし、施行3年で行うはずであった見直しは実施されずに今日に至り、高齢者虐待防止法実施上の問題点も明らかになってきました。この観点から、本大会では、学会の法制度委員会、定義問題特定員会が合同して、法の見直しについて提言したいと考えています。

次に、わが国において問題が大きい「通報システム」について取り上げたいと考えています。わが国では、4つの虐待関係法規がおのおの独自に運用されるのみならず、例えば、高齢者虐待に関しても、狭い地域において通報番号が多数存在し、市民から見て利便性の低いシステムになっています。児童虐待に対する「189」も使い勝手がよいとは言い難い現状は実に残念です。この通報問題に関して、諸外国の例も踏まえ、よりよいシステムの構築に向けて討論を深めたいと考えています。 多くの方々のご参加をお待ちしています。

 

 

 

和田忠志

 

 

 

和田忠志

(医療法人社団実幸会いらはら診療所 在宅医療部長)